その見た目の奇抜さが話題を呼んだ『動物番長』。しかし、外見だけではこのゲームの本質を理解することはできない。野生の世界を生き抜くためには、頭を使う必要がある。
「これはひょっとして、ウケをねらっているのか?」
ゲーム雑誌などではじめて『動物番長』の画面写真を見た者は、だれもが最初にそう思ったことだろう。
まあ、世の中にはいろいろなゲームがあるものだし、ゲーム性を度外視してインパクトだけで勝負みたいなゲームがあったところでいっこうに差し支えはないし、実際にそうしたゲームはいくらでも存在する。
ただ、問題なのは、この『動物番長』の発売元が任天堂であるということだ。ゲーム性に対する職人的こだわりを信条とする、あの任天堂だ。
ついにあの偉大な老舗も、こんなバ○ゲーを出すほどトチ狂ってしまったのか? でも、あの任天堂が出す○カゲーというのも興味をそそられる……そんな一種のこわいもの見たさのような気持ちが、私にこのゲームを購入させた動機の一つであったのは確かだ。
しかし、実際にプレイをはじめると、そんな事前の印象を訂正しなくてはならないことに気づくのに、それほど時間はかからなかった。
「なんだ、これはやっぱり任天堂のゲームじゃないか」
主人公は、例の立方体の頭に、正方形の板状の体(ニク)が一枚ついた「ドーブツ」。ヘコヘコと動く姿が、なんとも情けなくておかしい。
フィールド上にいる他のドーブツを狩って喰うことによって、主人公のニクにそのドーブツのニクの色が取り込まれ、色に応じた姿に変化(ヘンタイ)する。ヘンタイして新しい姿になる度に、一獣の王→二獣の王という具合にランクが上がっていき、最終的に百獣の王になるのが目的だ。
ゲームが進むと、主人公のニクも一枚から二枚、三枚と(最高六枚まで)増えていく。ニクが多い状態でヘンタイするためには、ニクの色を一定法則通りにそろえなければならないので、どの色の敵をどういう順番で喰うかといったことを考える必要が生まれ、難易度が上がっていくことになる。
限られた数しかいない敵をいかに順序よく喰ってうまくニクの色を合わせ、できるだけ多くの回数ヘンタイするのか……これが『動物番長』のゲーム性の肝である。
効率よくヘンタイして百獣の王を目指すためには、かなり緻密な戦略を立てなくてはならず、宣伝文句にあるごとく「野生のおもむくまま喰って喰って喰いまく」っていたのでは、とても目的達成はおぼつかない。
どこにどんな色をもつドーブツがいるのかしっかり把握しなければならないのはもちろん、フィールドのわかりにくい片隅に貴重な色をもったドーブツが潜んでいたりするので、フィールドの探索も怠ってはならない。
そう、『動物番長』はインパクト勝負のウケねらいゲームどころか、それとはまったく対極の、非常にゲームらしいゲーム、任天堂らしいゲームだったのだ。
そのあまりにもぶっとんだ外見から、「バ○ゲーはちょっと……」と敬遠している人がいるとすれば、もったいない話である。これはあくまでも「任天堂のアクションパズルゲーム」であり、○カゲーなどでは断じてない。
バ○ゲー的世界観と、任天堂的緻密さを見事に両立させたゲーム、それが『動物番長』である。
(10/31/2003)
『動物番長』ニンテンドーゲームキューブ
発売元:任天堂
おすすめ度:★★★★☆